東京ヤクルトを応援するブログ+α

親子で応援している東京ヤクルトスワローズの試合内容、編成等について自由気儘に書いています。

清原和博の逮捕から早熟選手の苦悩を考える

こんにちは。

 
野球少年だったパラドックスにとって、清原は正に憧れの存在でした。
甲子園で「超高校級」と呼ばれたバッターは星の数ほどいますが、本当に超高校級だったのは数える程で、その中でも傑出した存在が清原でした。
なんと言ったって、高卒新人で黄金期に突入しかけていた西武の四番をいきなり任され、打率3割4厘、31本塁打を打ったのですから。
その後のプロ野球界での活躍から、近年の凋落ぶりまで、ここで述べるまでもなく皆さん周知の通りです。
 
清原は生涯成績も立派なので典型的な早熟とは呼べませんが、それでも若くして才能を開花させ、一気にトップに駆け上がった様は、早熟タイプに分類されるでしょう。野球選手にかかわらず、体力をベースとし敵と戦っていくスポーツ界では、若年時からトップに上り詰める選手は少なくありません。草プレーヤーも含め、長年プレーしていてもトップに到達することの出来ない選手達からすれば羨ましい限りですが、精神的に成長する前に身体が成長し成功してしまう苦悩は凡人には知られにくい側面です。
 
トップ選手ともなれば、稼ぐ金額はケタ違いで、周りの大人からはチヤホヤされ、善人も悪人も吸い込まれるように寄ってくるものです。精神的に成熟していれば自分を見失わず、善悪の判断が出来るのでしょうが、多くの早熟選手がそうではありません。清原の場合、既に高校1年時に「あの」PL学園の四番を打っていたのですから、中学時には(もしくはもっと前から)既にスターとして扱われていたことでしょう。
 
早熟選手のセカンドキャリアが特に難しいのは、自分で進む道を考えた経験が少ないことです。そりゃ、リトルリーグの頃からホームランをかっ飛ばし続けたり、120Km/hを超えるような豪速球を投げていれば、本人も勘違いしますが、それ以上に親が「この子は野球の天才かも。野球のために生まれてきたに違いない」と思っちゃいます。
そりゃそうですよ。誰だって子がそんなプレーを見せていれば、舞い上がる気持ちは分かりますよね。
 
悪気なんて無いんです、子供も楽しそうにプレーしているし、周りは天才だって褒めるし、自分(親)もそう思っているのですから、もう他の道を見たり、考えたりすることはありません。最初は親が、次第には環境が子の進路を決めていき、子はそこで与えられた環境でプレーし続けるだけです。それは中学に行っても高校に行っても同じです。
 
もしその途中に自分がどれだけ練習しても倒せない相手が現れれば、そこで考え、プレースタイルを変えたり、場合によっては競技を変えたり、もしくは全く違う道に進むわけです。ところが早熟で成功する選手はその経験がないまま、社会におっぽり出されてしまう。とんでもない数のマスコミを引き連れて・・・
 
プレーヤーとして活躍しているうちは自分の存在意義が感じられますが、現役を退くとどこに自分が向かっていっていいのか分からない。しかも気付いた頃には、親身になってアドバイスをしてくれるような人はいなくなっている。金に任せ、人の心を吸い寄せようとしても、寄ってくるのはろくでなしばかり。もがいてももがいても、一向に闇から逃れられず、一瞬の安らぎを与えてくれる唯一のものが酒や薬。ほんの出来心から始めたものが気付いた頃には止められない。
こういったスポーツ選手、ちょっと思い起こそうとするだけで、何人も名前が上がってきますよね。
 
清原を擁護する気持ちは全くありません。野球界を、ファンを、そして何よりも家族を彼は裏切りました。特に彼のお子さんのことを思うと、なんとも言えない悲しい気持ちになります。しかし、早熟で成功した人にしか分からない人生の難しさや苦悩があったことは間違いなく、一方的に口撃するような気持ちにもなりません。
 
薬物は累犯が多いですが、少しでも子供のことを思うなら、しっかりと罪を償い、更生して欲しいと切に願います。
 
以下は清原の通算成績。5年目までがピークです。野村元監督は「清原を甘やかした森が悪い」と、成績が落ち目になった清原を見た際に発言したと言われますが、あながち間違っていないかもしれませんね。
年度 球団 試合数 打席数 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打数 打点 盗塁 盗塁死 犠打 犠飛 四球 敬遠 死球 三振 併殺打 打率 出塁率 長打率 OPS

1986

西武 126 471 404 66 123 18 1 31 236 78 6 3 4 3 49 2 11 109 8 0.304 0.392 0.584 0.976
1987 130 536 444 66 115 25 3 29 233 83 11 4 0 2 80 6 10 88 10 0.259 0.382 0.525 0.907
1988 130 551 451 97 129 21 0 31 243 77 5 4 0 3 82 7 15 102 10 0.286 0.410 0.539 0.949
1989 128 557 445 92 126 22 2 35 257 92 7 2 0 2 94 5 16 60 13 0.283 0.424 0.578 1.001
1990 129 560 436 99 134 19 2 37 268 94 11 5 0 4 105 6 15 85 7 0.307 0.454 0.615 1.068
1991 126 539 448 73 121 20 0 23 210 79 3 3 0 2 80 1 9 77 12 0.270 0.390 0.469 0.858
1992 129 556 464 82 134 17 0 36 259 96 5 3 0 3 85 0 4 98 13 0.289 0.401 0.558 0.959
1993 128 540 448 66 120 15 1 25 212 75 3 2 0 2 84 1 6 120 9 0.268 0.389 0.473 0.862
1994 129 565 455 78 127 29 0 26 234 93 5 1 0 5 100 9 5 117 12 0.279 0.411 0.514 0.925
1995 118 505 404 63 99 13 3 25 193 64 2 0 0 2 90 1 9 111 6 0.245 0.392 0.478 0.870
1996 130 563 487 67 125 30 0 31 248 84 0 2 0 0 70 0 6 122 14 0.257 0.357 0.509 0.866
1997 巨人 130 550 462 65 115 24 0 32 235 95 0 0 0 7 69 3 12 152 7 0.249 0.356 0.509 0.865
1998 116 470 384 67 103 14 0 23 186 80 1 0 0 11 67 1 8 76 13 0.268 0.379 0.484 0.863
1999 86 323 263 39 62 12 0 13 113 46 0 0 0 4 46 0 10 68 12 0.236 0.365 0.430 0.795
2000 75 252 216 41 64 10 0 16 122 54 0 0 0 3 25 0 8 51 6 0.296 0.385 0.565 0.950
2001 134 552 467 67 139 29 0 29 255 121 0 1 1 4 65 2 14 140 20 0.298 0.396 0.546 0.942
2002 55 174 148 24 47 1 0 12 84 33 0 0 0 1 18 2 7 36 1 0.318 0.414 0.568 0.981
2003 114 403 341 47 99 9 0 26 186 68 0 0 0 4 42 0 16 97 9 0.290 0.390 0.545 0.935
2004 40 120 101 18 23 2 0 12 61 27 0 0 0 0 15 0 4 41 4 0.228 0.350 0.604 0.954
2005 96 375 321 42 68 6 0 22 140 52 0 1 0 3 41 0 10 111 6 0.212 0.317 0.436 0.753
2006 オリックス 67 241 203 21 45 7 0 11 85 36 0 0 0 1 36 1 1 83 6 0.222 0.340 0.419 0.759
2008 22 25 22 0 4 2 0 0 6 3 0 0 0 0 3 0 0 11 0 0.182 0.280 0.273 0.553
通算:22年 2338 9428 7814 1280 2122 345 12 525 4066 1530 59 31 5 66 1346 47 196 1955 198 0.272 0.389 0.520 0.909
 
 
 ではまた。